広告効果測定を補完するコンバージョンAPI「DATA CONTROL」との連携で月額200万円の売上向上を実現【ソウルドアウト】
規制が進み、計測用のサードパーティCookie (クッキー)は、2024年後半にほとんどのウェブブラウザーで利用不可となります。コンバージョンの正確な計測ができないため、実際よりもコンバージョン数が少なく見えたり、広告配信が偏ったり、入札にも影響したりするなど、広告主にとっては悩ましい状態が続いています。そうしたなか、Yahoo!広告が2022年10月にコンバージョン補完対策の1つとしてリリースしたのが、広告主のファーストパーティデータをAPI経由で媒体に送信する「コンバージョンAPI」です。
Yahoo! JAPAN セールスパートナーの4つ星パートナーであり、地方、中小・ベンチャー企業の広告主に向けコンバージョンAPIの活用を促進するソウルドアウトと弊社の担当者に、同社のソリューション「DATA CONTROL」とYahoo!広告のコンバージョンAPIとの連携による成果について聞きました。
目的
クッキー規制で欠損したユーザーデータを補完し、正確なコンバージョンを計測する
施策
Yahoo!広告のコンバージョンAPIと「DATA CONTROL」を連携
効果
補完率18〜20%で売上も月額200万円向上
広告コンバージョンの正確な計測を支援する「DATA CONTROL」
2018年に欧州で施行されたEU一般データ保護規則(通称GDPR)を皮切りに、プライバシーや個人情報に関わるデータの取り扱い規制が世界的に加速しています。なかでも多くのマーケターやデジタル広告事業者の頭を悩ませているのが、ウェブサイトを横断してユーザーの行動をトラッキングできるCookieを防止するITP(Intelligent Tracking Prevention)です。
ITPは、Appleが開発するウェブブラウザー「Safari」に実装されているトラッキング用のサードパーティCookie防止機能です。Appleだけでなく、マイクロソフトやGoogleもCookie規制を強化しており、Googleでは2024年後半までに段階的にサードパーティCookieを廃止することを発表しています。
行き過ぎたトラッキングはユーザーの不利益になりえますが、一方、サードパーティCookieを活用することで、広告主は広告成果を正しく把握し、それを基に配信精度をより高めることができます。
ソウルドアウトのマーケティングテクノロジー本部 本部長 小野友嘉氏は、Cookie規制によるデジタル広告の課題について次のように分析します。
「ITPにより、特にBtoC事業のデジタル広告のコンバージョン数はみるみる減少していきました。影響が大きいのがiPhone(iOS)ユーザーの広告成果で、2021年5月にiOS 14.5がリリースされたことで、大手プラットフォーマーのデジタル広告のコンバージョン数は軒並み減少しました。さらに詳しく分析すると、iPhoneユーザーからのコンバージョン数が減少していくなか、Androidユーザーに配信が偏っていることも分かりました。日本国内はiPhoneユーザーが約7割(※)と大半を占めているため、これまではiPhoneへの配信が優勢だったんです。しかし、ITPの影響を受けてiPhoneユーザーはコンバージョン計測が難しくなったことで、媒体からコンバージョンしないターゲットと判定されるようになり、Androidユーザーへの配信が偏るようになってしまっていました」(小野氏)
その結果、表面上のコンバージョン数は変わっていないものの、iOSのトラッキングやインプレッションは低下。コンバージョン計測と共に数値の取得も困難になり、広告の配信精度を上げるための機械学習が制限を受け、広告の配信量や精度が低下するという問題も浮上しました。
こうした状況に対応するため、ソウルドアウトが開発したソリューションが「DATA CONTROL」です。
DATA CONTROLとは、広告主が持つファーストパーティデータを広告媒体に送信し、Cookie規制で欠損したコンバージョンデータを補完して広告効果の最適化を図るツールです。ファーストパーティデータは媒体のタグに組み込まれハッシュ化して送付されるので、安全性も高いという特徴があります。
Yahoo!広告「コンバージョンAPI」とソウルドアウトの「DATA CONTROL」を連携
これまで、Yahoo!広告もCookie規制に伴う課題に対し、さまざまな対策を行ってきました。LINEヤフーのビジネスデザイン統括本部ADセールス本部パートナーセールス3部の伊藤和樹は、Cookie規制の課題について次のように述べます。
「ソウルドアウトさんのお話にもあったように、コンバージョン数の減少に伴い、配信においても偏りが出たり、入札動向が変わるなどの影響が出ています。そのため、コンバージョンの補完対策を積極的に進め、Cookie規制に伴う課題に対応してきました」(伊藤)
例えば、広告管理ツール上で広告主が保有する電話番号やメールアドレスをアップロードして連携する「コンバージョン詳細マッチング」や、ウェブブラウザーに存在するデータの保存領域「ローカルストレージ」を活用したコンバージョン計測補完などを推進し、広告主や広告代理店の課題解決に注力してきました。
そうしたなか、2022年10月に発表したのがYahoo!広告の「コンバージョンAPI」です。
コンバージョンAPIとは、広告主のファーストパーティデータをAPIを通じてサーバー経由で媒体へ送信する機能で、他広告媒体でも公開されています。Yahoo!広告のコンバージョンAPIは、メールアドレスや電話番号をハッシュ化して連携できるという利点に加え、コンバージョンページの構成やアプリコンバージョン、コンバージョンタグで取得できないケースにも対応できるなど、さまざまなメリットがあります。
ただし、広告主がコンバージョンAPIを使って自社データと媒体を連携させるには、高い技術力が必要です。特に専任のIT人材がいない中堅・中小企業のデジタルマーケティング戦略においては、コンバージョンAPIを活用したくても難しい状況にありました。
そこで、ソウルドアウトでは、DATA CONTROLとYahoo!広告のコンバージョンAPIを連携し、広告主がDATA CONTROL経由で媒体にデータを送信できる機能を開発。これにより、広告主側は自社でAPI開発をすることなく、ファーストパーティデータを用意するだけでYahoo!広告と連携できるようになりました。
Yahoo!広告 ディスプレイ広告の補完率が18〜20%向上、売上も200万円/月アップ
Yahoo!広告のコンバージョンAPIとの連携にあたり、開発のプロダクトリーダーを務めたのがソウルドアウト マーケティングテクノロジー本部 デベロップメントグループの三浦千佳氏です。
「Yahoo!広告のAPIの仕様ドキュメントが非常に見やすく整理されていたので、開発はとてもスムーズに進みました。ドキュメント管理も徹底されていたため、他媒体に比べて導入しやすい印象を受けました」(三浦氏)
こうして2023年4月、DATA CONTROLとYahoo!広告 ディスプレイ広告のコンバージョンAPIの連携が開始しました。ソウルドアウトの小野氏によると、コンバージョンAPIは通常の欠損データの補完のためだけではなく、ページの構造上、電話番号やメールアドレスの記載がない場合、または「賃貸契約などファネルの深い部分で発生するオフラインコンバージョンの成果を取得したい」というケースに適しているといいます。
実際にDATA CONTROLとコンバージョンAPIを活用したあるアパレルECでは、広告経由の売上が1カ月で200万円向上するなど、コンバージョンデータの欠損を補ったことで配信が最適化され、成果が大きく拡大しました。ディスプレイ広告の補完率も18〜20%と向上し、広告配信や入札の最適化にもつながったといいます。
DATA CONTROLとLINEヤフーの進化は今後も続く
今後のデジタルマーケティングの課題は、Cookie規制による欠損の影響をいかに広告主に理解してもらい、より最適で効果の高い広告配信の実現に向け取り組むか、という点にあります。LINEヤフー ビジネスデザイン統括本部 ADセールス本部 パートナーセールス3部のリーダー である谷永優は、「欠損している状態を単に数字で伝えても、肌で感じていただくことは正直とても難しいと思います。今回のように広告代理店のソリューションを通じてその影響を伝えていただき、効果を実感していただくことが大切だと考えています」と語り、今回の取り組みを評価しています。
ソウルドアウトの三浦氏と小野氏も、今後の展望をそれぞれ以下のように語ります。
「DATA CONTROLが目指すのは、広告主さまの売上拡大です。これまで多くの広告主さまにご利用いただき、実際に結果につながってきました。現状の数値に満足することなく、より成果に貢献できるプロダクトに進化させていきます」(三浦氏)
「今後、LINEヤフーという新しい企業において、あらゆる顧客接点を一気通貫させることができるようになると、国内市場で唯一の存在になると思います。そして、広告だけでなくさまざまな分野で共通IDが活用できるようになれば、国内の中堅・中小企業も大企業に勝てる領域が増えてくると期待しているので、今後の進化を楽しみにしています」(小野氏)
(公開:2024年1月、取材・文/岩﨑史絵、写真/小川孝行)
※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
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