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サービス情報 公開日:2020.09.01

必見! テクノロジーサービス本部長 鍵山仁が語る今後の戦略 ~【後編】

データマーケティング ソリューション

【シリーズ】Yahoo! JAPANが考える、Withコロナ時代のデジタルマーケティングとは?~ 2

Withコロナの時代に、デジタルマーケティングができることは? 前編では、データソリューション事業の体制やコロナ禍での取り組みについて、Yahoo! JAPANテクノロジーサービス本部長 鍵山に、考えを聞きました。後編となる今回は、課題解決に向けての具体的な戦略、そしてこれからについて語ります。
 

Yahoo! JAPANデータマーケティングソリューションの向かう先


事業拡大に当たり感じている課題とは
まだまだ、Yahoo! JAPANが広告主様から選択されるために改善する領域は多岐に渡ります。課題の大きさや重みは、業界を代表するような大手の広告主様も中小企業の広告主様も、事業を担っているそれぞれの会社の個人個人にとっては変わりません。

事業上の話で言うと、競合他社に対抗し結果を残していかなければ社外からの評価は受けられません。広告事業として伸ばさなければ社内からの投資や評価も得られず、広告主様に提供できるサービスが弱体化していく危機感を持っています。これらは、プロダクトの力だけに頼っていてもまた、未来は明るくありません。そうした課題感と使命感から、進む先はデータを軸にお客様の課題解決の幅と深さを圧倒的に広げていくことだと決め、今それを実現するために社内の全方位に頭を下げながら、社内を走り回っております。勿論、リモートで(笑)。


具体的な「打ち手」は?
Yahoo! JAPANには、検索やディスプレイといった広告プロダクト(広告配信)と、決済サービス「PayPay」を活用した販促プロダクトがあります。これらのマーケティングアクションを行うプロダクトがあるからこそ、ユーザーに情報を届けられるのですが、広告主様にキャンペーン成果に対して納得をしてもらうことも重要です。データを利活用し、PDCAを一緒に回すためのプロダクトの強化を行わなければ、トータルソリューションとして完成しません。

マーケティングアクションを行う際、「誰に」「何を」「どうやって」届けるのかを考えるのではないでしょうか。そこに「なぜ」という視点もなければいけないと考えています。「なぜ」から説明ができ、広告効果も「なぜこうなったのか」、そして「どうした方がいいのか」ということに対して透明性を持てるようになります。できる限り広範囲の広告主様に提供できるようにするつもりです。

技術の成長が先に進むのは不可逆であり、その成長に対し、Yahoo! JAPANとして競合とどのように全方位で差別化するのかが、とても重要になってきます。

そういった中で、今年度から、競合各社に対抗できるデータアセットの利活用を広範囲に広げて、より多くの広告主様に届けるということを戦略の柱に据えています。ツール自体を目の当たりにすることはほぼなく、データによるアウトプット形式になると思いますが、それを支えるプロダクトを強化することで、そのアウトプットを爆増させていく予定です。

戦略として、プロダクトアウトもあれば、マーケットインの考えもありますが、私が考える戦略は、広告主様により近い場所で、ソリューション価値の探求と発見をいかに多く行えるかを重要視しています。トライの回数を増やすことで、幅広く展開できるLTV(Life Time Value)の高いソリューションを生み出すサイクルを作るために、社内のあらゆるデータを様々な目的で使いやすくするプロダクトを開発中です。

特に注力しているのは、データ分析基盤の構築です。これにYahoo! JAPANならではのデータ分析ソリューションを継続的に搭載していくことで、データ連携プロセスが圧倒的に加速化されます。また、アドホックなデータ抽出作業も、営業やコンサルタントが簡便に行えるようになります。

外部データ連携についても、多くの広告APIを広告代理店様の外部ツールに連携していますが、このスキームをさらに拡張し、独自のレポーティングやユーザーインサイトの提供範囲を拡充させることによって、広告代理店の皆様と一緒に、広くあまねく広告主様へ届ける仕組みを作っていく予定です。

開発を進める一方、データを利活用するプロダクトだけがあっても、誰にも使われなければ全く意味のないものになってしまいます。オリジナリティのあるデータアセットを「料理する」人材の増強は、必須課題です。広告主様サポートのカバレッジを確実に高めていくために、データコンサルタントやデータアナリストの体制を数百名レベルで大幅に強化する計画です。
 

データソリューションの未来予想図


今注目しているマーケティング課題は?

喫緊の課題は、消費者のプライバシー保護強化を背景とした海外大手プラットフォーム事業社による、端末情報の広告向け利用の制限です。「マーケティング」についての本来の価値は、リターゲティングという手法が難しくなることにより、デジタルマーケティング自体が本来の意味を考え始めるきっかけにはなるかと思います。

コンバージョンが獲れた=仕事の成果と評価される時代から、何が仕事の成果なのかを真剣に考え、もっと上位ファネルへのソリューションなどを新たな指標で追っていくというムーブメントになっていければ、データの提供価値はさらに広がる可能性が高まると考えています。

昨今「テレビ離れ」が叫ばれ、「テレビvs.デジタル」の構図は、よく知られるところです。テレビを見る時間が減った分、ユーザーのネットコンテンツへの接触がその分増えていくのは想像に難くないです。ということは、テレビCMで把握困難だった計測の意味が薄れ、デジタル広告が得意とする計測(デジタル広告の接触から購買まで)がさらに重要性を増すはずです。

そのような中で、Yahoo! JAPANとしては販促プロダクトに注力するようになっています。従来のマーケティングと販促がつながった世界で、OMO(Online-merges-offline)がさらに加速化されるでしょう。推定形にしましたが、今の延長で少しずつ自分たちが世界観を変えていこうとしている範囲なので、確実性は高いと思います。

広告主様側はEC購入、オフライン購入のどちらが評価されるかは関係なく、どちらで購入してもそのカスタマージャーニーがデータで連結され、全体の成果が大きくなっている状態をシステム的にも組織の評価上でも管理できる仕組みを構築している企業が競争力を増しているはずです。

DX(Digital transformation)でよく言われることですが、顧客提供サービスの価値をどう変革させていくかにおいては企業トップのリーダーシップも必要とされるはずですし、変われない企業は野心的な企業に統合され顧客基盤とサービスが統合されていると思われます。

Yahoo! JAPANとしても、PayPayをはじめ、そこに向けた構えを昨年から大がかりに実施して準備を進めています。広告主様が少しでも早くその状態にシフトできるようサービスをアップデートしていく予定です。



オフライン以外の注目は?
仮想空間の変化ですね。プラットフォーマーのトライアンドエラーはずっと行われてきました。VR/AR/MR領域は相当市民権を得ているかと思います。

プラットフォームの発展の影響もあり、今や個人が表現する時代となりました。今後はさらに表現が伝わるようなコンテンツプラットフォームができるのではないかと。いつもこの領域はニワトリと卵の理論で語られるのですが、BtoBにおいては先んじてMicrosoftを中心に仮想空間でのビジネスが加速されています。デバイスも高性能で安価なものが世に出回り、それらが全体の後押しをすることで、さらにハードルは超えやすくなっていくでしょう。

中でも注目しているのは、健康促進や教育促進などの「促進系コンテンツ」です。従来からあまり変化の少ない形式が多かったですが、表現方法やインタラクティブの機能性を持つことで、さらに仮想空間で変化を遂げていくに違いないと思います。

そうしたときに、その空間でのコンテンツにマッチしたマーケティングや広告がどうリッチ化していくのか、イメージするだけでワクワクします。広告主の皆様にも、同じようにワクワクしていただけるよう、これからも進み続けるつもりです。

(おわり)
 

ソリューションについて、詳しくは以下をご覧ください。
 

データマーケティングソリューション


プロフィール

ヤフー株式会社
マーケティングソリューションズ統括本部
テクノロジーサービス本部長
鍵山 仁

2014年ヤフー入社。2019年4月より現職。データ事業推進本部データビジネス推進部長、Yahoo! DMPサービスマネージャー、シナジーマーケティング株式会社 社外取締役等を歴任する。
 

※当記事は2020年8月の情報をもとに構成しています。掲載内容、所属団体、部署名、役職名等は、取材時のものです

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