ブランドイメージはコンバージョン率向上につながる?定量的な分析方法
商品やサービス自体では差別化が難しいことから、ブランディングに取り組む企業が増えています。しかし、ブランディングは無形の価値を作る施策であるため成果測定が難しく、本当に効果的なアプローチができているのか悩んでいる担当者の方もいるでしょう。
1.ブランディング施策の評価の難しさ
ブランディング施策が難しい要因の1つは、定量的な数値で成果測定しにくい点です。ブランディング施策の成果測定では、認知度や好意度、利用意向度などさまざまな指標が用いられますが、数値の増減があったとしてもブランディングによって認知度が向上したかを定量的に評価するのは難しいです。
例えば自分が消費者の立場で考えてみても、商品名をはっきり思い浮かべられるのに、一度も購入したことのないケースは多いのではないでしょうか。アンケート調査で認知度が向上しても、ブランディングが成功しているとは限りません。ブランディングの成果は無形の価値のため、数値に置き換えにくい特徴があります。
さらに、定量的に評価できなければ、経営陣に説明することも難しくなります。
経営陣の多くは業績につながる数値を重視する傾向があるため、ブランディングの効果を説明できなければ、広告予算を確保できなくなる可能性もあります。この点もブランディング施策に関わる担当者の悩ましいところです。
2.そもそもブランドイメージが重要視される理由は?
そもそも企業がブランドイメージの向上を図るメリットとは何でしょうか。ここでは主な3つのメリットについて解説します。
2.1.継続的に利用してもらえる
ブランドに良い印象を持ってもらえれば、何度も商品を購入してもらえる可能性が高まります。これは、消費者の心にブランドイメージが形作られると愛着や信頼が生まれ、リピーター化、ファン化しやすいためです。
例えば、雑貨を特定の企業で買いそろえる人は少なくありません。これは、個別の商品イメージではなく「シンプル」「ミニマムデザイン」といったブランドイメージが消費者の心の中にあるためです。このように、ブランドコンセプトに共鳴してもらえる状態になれば、顧客は離反しにくくなります。
2.2.利益率の向上につながる
ブランディングによって利益率を高める効果も見込めます。多少値段が高くても「いいブランドだから高くても仕方ない」と顧客にとらえてもらいやすくなるからです。また同じ価格、品質の競合商品があっても自社商品を選んでもらいやすくなるため、価格競争から脱却しやすくなります。
こうしたブランディング効果を活用している代表例が高級アパレルブランドです。素材やデザインが良い面もありますが、ブランドならではの世界観や所有欲を刺激するアイコンがあるからこそ、高額商品を販売して利益を上げています。
2.3.類似サービスとの差別化を図れる
ブランドイメージを確立すると、比較検討以前の段階で競合との差別化を図れます。「○○といえば△△会社」といったように想起してもらえる確率が高いうえ、ネームバリューがあることで顧客は安心感や好感を持って商品を購入できるでしょう。
実際、商品情報を集める前に、すでに1~2社の候補に絞っている見込み客は少なくありません。この傾向は高額商品、買い替え頻度が少ない商品、ニッチな分野の商品において特に顕著です。
広告施策を始める段階で、すでに勝負は付いてしまっているケースがとても多いです。逆にいえば、潜在層を集客するのにブランディングはとても重要な施策といえます。
3.ブランドイメージを意識する企業が増えてきている?
上の表は、ヤフーが提供しているブランドリフト調査(広告接触によって対象ブランドの認知度や好感度が向上したかを分析する調査)の依頼数をまとめたグラフです。2020年度から<2021年度は増加傾向にあることがわかります。
現在はウェブ広告が一般的になり、自社でブランディング広告を制作、出稿が簡単になりました。実際、主に画像や動画によって訴求力が高いディスプレイ広告を用いたブランディングも増加傾向にあります。
ブランディングが重視される背景には、競合商品の増加や経済グローバル化により、品質面での差別化が難しくなったことが挙げられます。また、商品の購入動機として商品を利用する喜びや自己実現を挙げる人の割合も増えています。こうした状況に対応するには、ブランディングによる付加価値がいっそう重要となるでしょう。
4.ブランドイメージと見込み顧客の相関性
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第一想起率が高いと、ブランド・サービスの検討者数も増加する
第一想起された転職サイトと検討カバレッジの関係性
上の図は第一想起率(※1)と検討カバレッジ(※2)の関係を表した図です。グラフをみてわかるように、第一想起率と検討カバレッジには一定比率で相関関係があります。
※1:第一想起率
ここでの第一想起とは、ユーザーが特定の商品・サービスを想起した際に、Yahoo!検索で一番目に検索されたモノやブランドを指します。したがって自社ブランドの第一想起率とは、特定の商品・サービスをユーザーが検討した際に、自社ブランドが一番最初に検索される割合です。
※2:検討カバレッジ
どのくらいのユーザーが、順番を問わず対象を一回以上検討したかを示す指標です。
上図の転職サイト検討の例から、転職者たちは「転職サイトといえば○○」とはじめに思い浮かべた転職サイトの利用を検討しやすい傾向があるということがわかります。経験則でも納得しやすい行動ですが、Yahoo! JAPANのビッグデータによって明確に裏付けられました。
4.1.検討カバレッジの増加はコンバージョン率の向上に影響する?
先に述べたように、ブランディングによって第一想起率が向上すれば、検討カバレッジが増加する傾向にあります。例えば>Web広告やオウンドメディア、SNSアカウントでユーザーに情報を発信した結果、ユーザーが自社ブランドに興味を持てば、検討カバレッジ層を増やせるでしょう。
検討カバレッジ層を増やすことでコンバージョン率の向上も期待できます。一度でも商品の購入を検討したユーザー(検討カバレッジ)にキャンペーン情報を伝える広告配信をおこなうことで、ユーザーのコンバージョンを誘発できるかもしれません。
また、同様に自社サイトへの訪問履歴のある人、特定の検索語句を入力した人などに対して広告を配信することも効果的です。
5.定量的にブランディング施策を評価する方法
前述のとおり、ブランドイメージを向上させることでコンバージョン率や売り上げの向上は可能ですが、それを定量的に評価することは困難です。
しかし、Yahoo! JAPAN 第一想起分析(以下、第一想起分析)でブランディング施策の成果測定を計測することが可能です。
5.1.Yahoo! JAPANの第一想起分析について
Yahoo! JAPAN の第一想起分析は、ブランドの第一想起の状況を見える化できるサービスです。主な用途は次の3つです。
・自社および競合の第一想起率を調べられます
・ブランディング広告の定量的な成果測定指標として活用できます
・見込み顧客になりえる潜在層の特徴を抽出し、広告配信に活用できます
Yahoo! JAPAN の第一想起分析では、2種類の分析方法を利用できます。
商品・サービスが直接検索される(指名検索)可能性が高い場合は、検索クエリの順番や検索回数によって想起度の高さを評価します。一方で、商品・サービスに関連したクエリで検索される可能性が高い場合は、Yahoo!検索からの流出先URLの順番(検索履歴やサイト訪問履歴) で第一想起しているブランドを推測します。
また、ブランディング目的の広告を配信している場合は第一想起分析を成果測定のツールとして導入することで、「広告の費用対効果がわからない」「ターゲットに接触できているのかわからない」といった課題も解消できるでしょう。
5.2.「第一想起分析」の検証例
ある大手自動車メーカーは、Yahoo! JAPANのトップページにブランディング目的のディスプレイ広告を掲載し、広告の配信前後で、第一想起率の推移を検証しました。具体的には、広告接触ユーザーと非接触ユーザーの第一想起率の差分を測定しました。
検証の結果、広告接触によって第一想起検索率が2.3%向上したことがわかりました。さらに、第一想起したユーザーと2番目以降に想起したユーザーでコンバージョン率を比較したところ、第一想起したユーザーのほうが113%もコンバージョン率が高いという結果が得られました。
このように、第一想起された商品・サービスはコンバージョン率も高まることが明らかとなりました。
6.第一想起分析とコンバージョン率の相関性を分析することで定量的に成果を評価できる
ブランディング施策は、定量的に成果測定しにくい場合も多いです。そのため顧客の定着や利益率の向上、差別化などに効果が見込めても、積極的に広告費を出しづらいケースが少なくありません。
そのため、ブランディング施策の成果測定を実施する場合は、Yahoo! JAPAN 第一想起分析を利用することがおすすめです。
第一想起分析によって、ブランディング目的の広告の配信前後で第一想起率を比較すれば、広告の成果を定量的に測定でき、コンバージョン率との相関性も分析できます。効果的なブランディング施策のために、ぜひYahoo! JAPAN 第一想起分析をご検討ください。
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